[OSM-ja] ODbLオンライン勉強会(その3)

Shu Higashi s_higash @ mua.biglobe.ne.jp
2012年 6月 20日 (水) 13:41:57 BST


今回はODbLの要約です。
本文は別にありますので、とりあえずざっと流し読みします。


ODC Open Database License (ODbL) Summary
ODC オープン・データベース・ライセンス(ODbL)の要約


This is a human-readable summary of the ODbL 1.0 license. Please see
the disclaimer below.
これはODbL 1.0 ライセンスの一般の人に読みやすいようにした要約です。下記の免責条項を参照してください。

You are free:
あなたは以下の条件に従う場合に限り、自由に

To Share: To copy, distribute and use the database.
共有: データベースを複製、頒布及び利用することができます。

//----メモ(ここから↓)-----------------------------
「データベース」そのものに言及している点が大きな特徴です。
------メモ(ここまで↑)---------------------------//

To Create: To produce works from the database.
創作: データベースから著作物を製作することができます。

//----メモ(ここから↓)-----------------------------
日本の著作権では索引の付け方などに創作性がある場合にはデータベースにも著作権が認められることになっています。従って「データベースから著作物を製作することができます」という言い方は著作権法的には矛盾をはらむ表現となる可能性があります。このあたりの整理は今後の課題のひとつだと思います。
また日本の著作権法では、二次的著作物は「著作物を翻訳し,編曲し,若しくは変形し,又は脚色し,映画化し,その他翻案することにより創作した著作物をいう」(著2条1項11号)と定義されています。
OSMデータベース自体が著作物に相当するかどうかは国内ではまだ判断されていないため、さらにそこから作られたものが「二次的著作物」に相当するものかどうかよく分かりません。
ここでいう「著作物」とは、日本での「二次的著作物」とは違うものと捕えておいたほうが良いのかもしれません。こういった点もあり、Createは単に「作成」とせずに「二次的著作物」や「派生物」と区別して「創作」の訳語を当てています。
CC BY-SA 2.0 では「to Remix - to adapt the
work」を日本の著作権法と整合性をとって「二次的著作物を作成することができます」と訳しています。
ちなみにCCではライセンスの日本語訳がありますが、それを、各国法に合わせて再定義するのでなく世界で唯一の解釈であるべき、と問題視する意見もあるそうです。
------メモ(ここまで↑)---------------------------//

To Adapt: To modify, transform and build upon the database.
翻案: データベースへの改変、変形及び加工ができます。

//----メモ(ここから↓)-----------------------------
OSM地理データベースを複製して独自にデータを追加、修正することができます。
------メモ(ここまで↑)---------------------------//


As long as you:
あなたの従うべき条件は以下の通りです。

Attribute: You must attribute any public use of the database, or works
produced from the database, in the manner specified in the ODbL. For
any use or redistribution of the database, or works produced from it,
you must make clear to others the license of the database and keep
intact any notices on the original database.
表示:あなたはデータベースを公衆利用する場合、又はデータベースから著作物を製作する場合にはODbLで指定された方式に従い、帰属表示をしなければなりません。データベースを利用若しくは再頒布する場合、又はデータベースから著作物を製作する場合、あなたは、データベースのライセンスを他者に対して明示するとともに、原データベース上のあらゆる通告を保持しておく必要があります。

//----メモ(ここから↓)-----------------------------
CC BY-SA 2.0 で言えばBYに対応しています。上述のように自由に利用するためには、権利者のクレジットを表示する必要があります。
「公衆利用」とはWeb上での一般公開などを指します。「公衆利用」でない場合はクレジット表示は不要です。
また、帰属表示に際してCC BY-SA 2.0
では、多数による共同作業の場合が考慮されておらず代表者名での帰属表示はグレー(どちらかといえばNG)と解釈されていましたが(その後CC
BY-SA4.0ドラフトでは改善案が盛り込まれた)、ODbLはデータベース名などによる代表してのクレジット表示を明示的に認めています。
------メモ(ここまで↑)---------------------------//

Share-Alike: If you publicly use any adapted version of this database,
or works produced from an adapted database, you must also offer that
adapted database under the ODbL.
継承: あなたは、本データベースの翻案版、又は翻案版データベースから製作した著作物を公開利用する場合、その翻案版データベースもODbLに基づき提供しなければなりません。

//----メモ(ここから↓)-----------------------------
CC BY-SA 2.0 で言えばSAに対応しています。ライセンスの伝播を要求します。
「翻案版データベース」はGPLv2や著作権法でいう「派生物」や「二次的著作物」に相当しますが、国内ではまだ法的な解釈や根拠は無いものと思われます。
こちらも「公衆利用」でない場合は「継承」の必要はありません。
------メモ(ここまで↑)---------------------------//

Keep open: If you redistribute the database, or an adapted version of
it, then you may use technological measures that restrict the work
(such as DRM) as long as you also redistribute a version without such
measures.
キープ・オープン: あなたは、データベース、又はデータベースの翻案版を再頒布する場合、それらに制限をかける技術的手段(DRMなど)を用いることができます。ただし、あなたは、当該手段を使用していないバージョンも再頒布しなければなりません。

//----メモ(ここから↓)-----------------------------
ODbLはオープンであり続けることを要求します。
「翻案版データベース」にDRMなどによる技術的なプロテクトを掛けて公開する場合には、掛けていないバージョンも公開しなければなりません。
個人的には、どうせ公開しなければならないのにあえてプロテクトを掛ける必要性のあるケースというものがよく理解できていません。セキュリティ保護を目的とするメール添付時などの一時的な暗号化のことなど?
訳語としては表示、継承に続けてキャッチーな短い(できれば2文字の)日本語にしたかったのですが、適当な言葉が見つからず「キープ・オープン」としています。良い案がありましたら教えてください。
------メモ(ここまで↑)---------------------------//


Disclaimer
免責条項

This is not a license. It is simply a handy reference for
understanding the ODbL 1.0 ? it is a human-readable expression of some
of its key terms. This document has no legal value, and its contents
do not appear in the actual license. Read the full ODbL 1.0 license
text for the exact terms that apply.
この文書は、ライセンス契約ではありません。これは、ODbL 1.0を理解するための簡便な参考資料に過ぎず、ODbL
1.0の主要条件を人間が読める形式で記述したものです。この文書からは、いかなる法的効力も生じません。この文書の内容は、実際のライセンス契約に定められている内容とは異なります。適用される実際のライセンス条件については、ODbL
1.0ライセンス契約の全文を参照してください。


ODbL 1.0 要約の対訳(非公式ドラフト):
http://wiki.openstreetmap.org/wiki/OSMFJ/ODbL/1.0/summary


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