[OSM-ja] 高速道路の定義について

Ryosuke Amano r-amano @ dp.u-netsurf.ne.jp
2018年 3月 29日 (木) 12:55:04 UTC


横浜のあまのです。
長文になることを前もってお断りします。

前回の投稿後、諸氏の投稿を拝読し、また自身もいろいろと勉強しました。
今までの投稿で主観とも取られる記述をしてしまったことについてはご容赦ください。

さて、hayashiさんの投稿で「Japan_taggingが誤訳」と考えているのではないか?と
ありましたが、私はそのようには考えていません。
でも、なぜ高速道路ナンバリングを基準とした方が良いかと考えているのは、一言でいうと
「Japan_taggingができた時よりも、より明確で分かりやすい基準が制定されたので、その基準を使ってはいかがでしょうか?」ということになります。


JA:Tag:highway=moterwayに相当する道路は、日本ではまず「高規格幹線道路(https://ja.wikipedia.org/wiki/高規格幹線道路)」であろうかと思います。
この高規格幹線道路は、1)高速自動車国道・2)高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路・3)国土交通大臣指定に基づく高規格幹線道路(一般国道の自動車専用道路)・4)本州四国連絡道路からなり、それぞれ、1)は高速自動車国道法第4条1項に規定する「高速自動車国道」、2)〜4)は道路法第48条の2に規定する「自動車専用道路」です。

*高速自動車国道法:http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=332AC0000000079&openerCode=1#50
*道路法:http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=327AC1000000180&openerCode=1

このため、高規格幹線道路は一般道路や鉄道等との交差の方式は立体交差とし(高速自動車国道法第10条/道路法第48条の3)、通行できるのは自動車のみ(高速自動車国道法第17条1項/道路法第48条の11)です。また入口その他必要な場所に通行の禁止又は制限の対象を明らかにした道路標識を設けなければなりません(高速自動車国道法第17条2項/道路法第48条の11 2項)。

なお、この場合の「自動車」はどちらも道路運送車両法第2条2項に定める「自動車」であり(高速自動車国道法第2条4項/道路法第2条3項)、これは、道路運送車両法第2条3項で定られる「原動機付自転車」以外の「原動機により陸上を移動させることを目的として製作した用具で軌条若しくは架線を用いないもの又はこれにより牽けん引して陸上を移動させることを目的として製作した用具」(原文ママ)です。
(*以後このメール中での「自動車」は、この道路運送車両法第2条2項に定める「自動車」のこととします)
そして「原動機付自転車」については、道路運送車両法施行規則第1条1項および同条2項によって規定されます。
すなわち、内燃機関を動力とするもので、2輪に関しては総排気量0.125リットル以下、その他は0.050リットル以下、
内燃機関以外を動力とするものは、2輪に関しては定格出力1.00kw以下、その他は0.60kw以下とし、総排気量・定格出力によってさらに第一種と第二種とに分けられます。

道路運送車両法:http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=326AC0000000185&openerCode=1#16
道路運送車両法施行規則:http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=326M50000800074&openerCode=1#2

また上記の両法で規定される「通行の禁止又は制限の対象を明らかにした道路標識」とは「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」の別表第一に規制標識の325番として「自動車専用」があり、表示の意味は「高速自動車国道又は自動車専用道路であること」とあり、デザインとサイズは別表第二に定められています。
これが、おなじみの青地に乗用車の前面をデザインした例の標識です。

道路標識、区画線及び道路標示に関する命令:
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=335M50004002003&openerCode=1#162

そして、高速自動車国道および自動車専用道路は、道路構造令によって設計速度が高く規定されています。
道路構造令(wiki):https://ja.wikipedia.org/wiki/道路構造令
国交省解説ページ:http://www.mlit.go.jp/road/sign/pdf/kouzourei_2-1.pdf

ここまでは特に大きな問題はありません。
問題はここから・・・

さて「自動車専用道路」とは、道路法第48条の2で
1.市街地及びその周辺の地域において、交通の円滑を図るために必要があると認めるとき、まだ供用の開始がない道路について、
2.車両の能率的な運行に支障があり、若しくは道路交通騒音により生ずる障害があり、又はそれらのおそれがある道路の区間内において、交通の円滑又は道路交通騒音により生ずる障害の防止を図るために必要があると認めるとき、当該道路(まだ供用の開始がないものに限る。)又は道路の部分について、区域を定めて、
指定することができる、とあり、条件はこれだけです。
そして指定された道路は、道路法第48条の3から第48条の12に規定される「自動車専用道路」に関する条項を満たし、道路構造令で定める道路の規格で作られ、入口その他には「自動車専用」(325)の標識があるというわけです。

すなわち「自動車専用道路」では
・道路管理者は不問。一般国道の他、都道府県道、市町村道、私道などでも構わない。
・道路の部分のみ区域を定めて指定ができるので、例えばトンネルや陸橋の部分だけ指定することも可能。
一方、高速自動車国道は高速自動車国道法第四条で、その意義と路線の指定が規定され、同条2項のとおり路線名、起点、終点、重要な経過地その他路線について必要な事項を明らかにせねばなりません。

そして、高速自動車国道は道路交通法第75条の4で政令で定める最低速度未満で走行してはならないと規定され(50km/h:道路交通法施行令第27条の3)、特段の速度規制がない限りは、最高速度(法定最高速度)も100/km・80km/hと定められています(道路交通法施行令第27条1項)
しかし「自動車専用道路」は特段の速度規制がない限り、最高速度(法定最高速度)は一般道路と同じ60km/hで、最低速度もやはり一般道路と同じく、ありません。

道路交通法:http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?openerCode=1&lawId=335AC0000000105_20170312#766
道路交通法施行令:http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=335CO0000000270&openerCode=1#372
NEXCO中日本Q&A:http://highwaypost.c-nexco.co.jp/faq/traffic/rule/335.html

一方で「自動車専用道路」は1.2.どちらも指定時に『まだ供用の開始がない』が条件になっています。このため、例えば一般道路で供用していた道路を高速自動車国道並みに改良し、都道府県公安委員会等が規制標識を用いて通行できる車両を「自動車」に限定し、その他道路法第48条の3から第48条の12に規定される状態に整備したとしても、「自動車専用道路」には指定できません。「自動車専用」(325)の標識の意味は「高速自動車国道又は自動車専用道路であること」ですので、当然この標識は立ちません。

地域高規格道路、というのもあります。
国交省のページによると、「自動車専用道路もしくはこれと同等の規格を有し、概ね60km/h以上の走行サービスを提供できる道路」とあります。
またもう一つの資料では「サービス速度を確保できる場合は、(中略)現道の活用や平面交差を設けることができる」とあります。
ですから地域高規格道路が全部が全部、「自動車専用道路」というわけではなく一般道路もあるということのようです。
国交省・地域高規格道路の区間指定について:http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha04/06/060330_3_.html
国交省・高規格幹線道路等の現状(15p):http://www.mlit.go.jp/road/ir/kihon/25/3.pdf

話をOpenstreetmapに戻しましょう。
このような様々な背景があるなかで、highway=moterwayに則した道路を判別するために、Japan taggingで「自動車専用道路。青地に白い車の標識のある道。」としていたのは、致し方が無かったと思います。しかしながら法令上での「自動車専用道路」は道路の部分での指定も可能である等の規定もあるため、Ja:Tag:highway=moterwayで確かに断りは入っているものの、要件に合わない道路でもmoterwayタグが付いてしまう可能性はあります。
端的に言えば、
「highway=moterway には、概ね『自動車専用』(325)の標識がある」(「概ね」としたのは一部例外として『自動車専用道路』相当・『高速自動車国道』相当の一般道路の場合にはこの標識が無いため)
とは言えるものの、その逆、すなわち
「『自動車専用』(325)の標識がある道路は、highway=moterwayである」
とは必ずしもそうではないのではないということです。
ただ、そうとはいっても他に容易に判別しうる目標がない以上、これまでJapan_taggingで「自動車専用」(325)標識の有無を基準とするのは、やむを得なかったと考えます。

そこでこの区別を明確にするために、活用できると考える基準が2017年から実施された「高速道路ナンバリング」です。
2016年10月にまとめられた「高速道路ナンバリングの実現に向けた提言」では、我が国特有の課題として、
「高速自動車国道の計画に沿って整備された一般国道のバイパスが、高速自動車国道の機能を代替する区間があり、整備の進展 によって、一般国道の番号と高速道路の路線名が不連続な案内となり、わかりにくくなる場合がある。」(p4)
ということが挙げられています。
そして、高速道路ナンバリング対象路線としては、そのp5で
「可能な限り、連続して利用することが想定される多くの路線を対象に付番することが望ましい。」とし、
・高規格幹線道路:すべての路線を高速道路ナンバリングの対象路線とすべき
・高規格幹線道路以外の路線についても
 1)「高規格幹線道路網を補完して地域のネットワークを形成しており、利用者にシームレスに案内されるべき路線」(表1)
 2)「高規格幹線道路から主要な空港・港湾、観光地へのアクセスにおいて、利用者にシームレスに案内されるべき路線」(表2)
は高速道路ナンバリングの対象路線(図1)に加えるべきとされた。
なお、案内の一層の充実を図るため、今後、さらなる高速道路ネットワーク整備の進展等により、対象路線を追加することもあり得る、としました。
(表1・表2はp6)
(※都市高速道路については省きます)

この提言を受けて2017年2月14日付国交省道路局長名で高速道路ナンバリングの導入と対象路線が通知され、道路標識へも記載が始まりました。(「高速道路番号」(118の3))

高速道路ナンバリングの実現に向けた提言:http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/numbering/pdf99/1.pdf
高速道路ナンバリングの導入[道路局長通知]:http://www.mlit.go.jp/road/sign/numbering/document/files/numbering_tsuchi002.pdf

この高速道路ナンバリングが優れていると考える点は次の通りです。
1)路線と区間が明示されている。また道路標識にも記載があるので容易にまた明確に判別ができること。
*道路標識に関しては、導入されてまだ日が浅いことから、整備がまだ間に合っていない可能性もあるが、すでに施行されているので時間が解決します。
2)高規格幹線道路を網羅しているのみならず、それ以外の路線に関しても道路の種類に関係なく、実態として「利用者にシームレスに案内されるべき路線」も対象とされていること。
3)道路法第48条の2 2項のような「交通の円滑又は道路交通騒音により生ずる障害の防止を図るため」に、道路又は道路の部分について、区域を定めて、「自動車専用道路」指定された道路について、その道路がJA:Tag:highway=moterwayに含まれるか判断する際の目安となること。

以上から、「高速道路ナンバリングの対象路線はJA:Tag:highway=moterwayである」とほぼ言えると考えます。そしてその逆も、「高速道路ナンバリングの実現に向けた提言」のp5で挙げられた条件から、概ね真であるといえると考えます。

そして既にナンバリングが実現している首都高速・阪神高速などの都市高速道路についても、その道路実態からそのままhighway=moterwayでよいと考えます。

もちろん、現在、高速道路ナンバリングの対象外の路線であってもJA:Tag:highway=moterwayの条件に相応しい路線はあるかもしれません。また「高速道路ナンバリングの実現に向けた提言」のp5にあるとおり今後、対象路線が追加されることもあり得ます。
それでも、現在のJapan_taggingでの指標とJA:Tag:highway=moterwayのニュアンスから判断することに比べたらば、より簡便で明確に区分できると考えます。

なお「自動車専用」(325)は、規制標識に分類されている通り、高速自動車交通法/道路法で規定している、通行できるのは自動車のみ、人がみだりに立ち入ることの禁止、といった通行の禁止又は制限の対象を明らかにした道路標識でもあります。
一方で先ほども述べた通り、様々な経緯で「自動車専用道路」並みの一般道路、といった道路も存在し得るわけで、この標識の存在はOpenstreetmap上では、むしろ通行の規制を判断する根拠とした方が良いのかもしれません。

ここまで読んでいただきありがとうございます。
読みづらい文章で、いろいろと至らぬ点はありましょうが、提案という形で書きました。
いかがでしょうか?
皆様いろいろと考えるところはあるかと存じますが、何卒、詰問や批判あるいは討論等といった、読んでいて萎縮してしまうようなものではなく、平易で前向きかつ建設的なご意見を、また至らぬ点につきましては丁寧なご指導を、それぞれ頂ければと存じます。

あまの



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